読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

私の中に誰がいる?

自分を強くしてくれる、ちょっと不思議な心理学!『自己人格分析』研究のまとめブログ★

第15回 地下の謎①

 

 

 

前回のあらすじ。

 

まもるくんが守ってくれていた砦。

このまま彼ばかりに抱えさせるのは良くないと気づく紺野だけど、どうすれば?

そして一方では、地下の部屋の謎が浮上!

その真相を知るために、再び住人に会いに行くと…?

(by リンさん)

 

「うわー…いよいよだねぇ…(о´ω`о)」

「まもるの秘密ねぇ…。あいつ喋んないからよく分かんないんだよなー、何考えてるのか」

「やかましくて直情的なあなたと足して2で割れば、ちょうどいいかもしれませんね」

「お前は…まーた俺に文句かよ! 俺の役割なの、これが!(#`皿´)

「まぁまぁ…。委員長は最近真顔で冗談が言えるようになったのよ☆」

「…リンさんはすこし黙っててください」

「えっ!Σ(・д・;」

「…文句? 聞き捨てならないですね」

「委員長まで…。ヒロさん助けてー、この子らすぐケンカしだすぅ(o;ω;o)」

「馬鹿にしないでください! 私だって…あなたの役割も存在価値も、とっくに知ってますし!(*`□´*)」

「……!?」

「あ…… (;゚д゚)」

(あちゃー!(;・∀・) こりゃーハズカシイ!)

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

深く潜り込むような感覚で内側に降り立つと、いつもの広間には委員長グリーンダカラちゃんの姿が。

二人はそれぞれ、ドーナツ型テーブルに添えられた隣り合わせた椅子に座って、話をするでもなく思い思いの時間を過ごしていました。

委員長は読書を、グリーンダカラちゃんは小さな鉢植えをいくつも机の上にならべて動かしたり眺めたりしています。

二人への挨拶もそこそこに、さっそく本題へ…。

私は委員長に向かって訊ねました。

「あの地下のことって、なにか知ってる?」

そこに何があるのか、知りたいのだと伝えます。

委員長は以前と同じように、「私もよくは知らないんです」と答えました。

しかし、グリーンダカラちゃんのことをチラリと見て、「彼女は、地下に行ったことがあるようですよ」と驚くべきことを言ったのです。

まさかの答えに、私はグリーンダカラちゃんを振り向きました。

さすが、私の心の万能お助け天使

彼女にコミュニケーションの壁はないのだろうか、と絶句です。

けれど、その後ふと気づいてしまいました。

グリーンダカラちゃん、喋らないじゃん…。

これは大きな問題です。

いくら知っていても、私にそれを伝えてくれなければどうにもなりません。

彼女からその謎を解く鍵を貰うことは、難しいのでは…? と思われました。

その時です。

私の頭の中に、ふと、あるイメージが広がりました。

薄暗い部屋の中に、グリーンダカラちゃんと、それからもうひとり

彼女とさして変わらない、小さなシルエットでした。

二つのシルエットは何をするでもなく、ただ黙って手を繋いでいるのです。

そこにいる人物こそ、紛れもなく、地下の「住人」なのでしょう。

その時、なぜかは分からないのですが、直感のようなものが私に、グリーンダカラちゃんと一緒にそこにいるのは「男の子」だと伝えてきました。

男の子…?

予想外の情報に、少なからず戸惑います。

実はその頃に試した心理テストで、内心では人に頼ったり甘えたりしたいという気持ちを、怒りなどと同じように表に出ないようしまいこんでいる、という数値も出ていたのです。

(こういったものが数値で割り出されるって、すごいことですよね…笑)

それもあって、私が前もって「地下キャラ」としてある程度目星をつけていたのは、「甘えたい」という欲求を持った個性の子でした。

てっきり、性別は女性を想像していましたし、甘えたいっていうなら「ちょっとワガママな女の子」とかなんじゃないかと、勝手に考えていました。

イメージの中のその子は、グリーンダカラちゃんと背格好があまり変わらない、黒髪で地味な顔立ちの幼い少年です。

甘えたいっていう気持ちの持ち主は、君なの?

イメージの中のその子に向かって問いかけてみるものの、もちろん反応はありませんでした。

ただ、なんとなく理解はできます。

あの子は、自分が認めた人だけを、自分のところに通してくれるのではないか…と。

今は切れている、地下への縄ばしご。

許しを得られたその時は、少年が下からはしごをかけてくれるようなのです。

彼の近くに、立て掛けて使えるタイプのはしごがチラリと見えました。

グリーンダカラちゃんって、いつの間にその子にも認められていて、地下にも行き来できちゃうの?

私は信じられない気持ちで、今は隣にいる彼女の澄んだ瞳をまじまじと見つめてしまいました。

すごすぎる…。この子はどこへでも行けちゃうのね。

「どうしたら、私もその子に会えるんだろう…。私、その子に会いたいの。彼は、どうしてそんな暗いところにひとりでいるの?」

気づけば、私は二人に向かって、そう訊ねていました。

なにか知っているなら教えてほしいと。

すると、グリーンダカラちゃんは、机の上に置いてあったいくつかの鉢植えの中からひとつを取り上げると、私に向かってスッと差し出します。

同時に私の脳裏に、グリーンダカラちゃんが少年へと鉢植えを手渡しているところが浮かびました。

彼女はどうやら、小さな鉢植えを育てては、ひとりぼっちで地下にいるその子にプレゼントをしているらしいのです。

少年の周りには、すでにいくつかの鉢植えが点々と置かれていました。

どれもこれも、グリーンダカラちゃんからの贈り物なのでしょう。

ああ、そうか…と、私は理解しました。

これを大切に育てて、いつか彼に会うため地下に行く時が来たら、その子に渡すように、と彼女は言いたいのだと。

 


物言わぬ「植物」を育てることって、決して簡単ではないのです。

緑が好きで部屋のあちこちに観葉植物を置いている私ですが、何度も鉢植えを枯らしてしまったり、花を長生きさせてあげられなかったりと今もよく失敗します。

大抵植物が元気をなくしてしまうのは、自分の生活にも余裕がなくなっている時です。

それに、植物はたとえ水が欲しくても、太陽の光をあびたくても、それを口に出してはくれません。

こちらが、しっかりと様子を観察して、彼らがなにを望んでいるのか感じ取らなくてはいけないのです。

ですが、それって、なにも植物に限ったことではありませんよね?

人間相手だって、下手に言葉を操る生き物だからこそ、上辺のものに誤魔化されて本心が見えづらくなってしまうこともあります。

それでも、表情眼差し仕草ひとつからも、心の様子を感じとらずには、踏み込んだコミュニケーションはできません。

大切にするべきなのは、相手を愛情を持って見つめることと、思いやり

そして、心を感じとる力なのです。

たしかに、植物の気持ちが分かって、上手に育ててあげられるくらいになれば、観察力について怖いものはそうそうないように思えます。

そのための練習をするようにと、グリーンダカラちゃんは言いたいのではないでしょうか。

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

「もうひとつですね」

唐突に、委員長が口を開き、私の思考に割って入りました。

私の心の中なんだから、思考は筒抜けってことか…と思いながら、言われた「もうひとつ」について考えます。

「あなたが頼れて、甘えられると思える先を、見つけないと」

「あぁ…。うん、なるほど」

納得です。

いつの間にか、親兄弟相手でも、素直に感情を出すことをしなくなってしまっていましたから。

しかも友人に対して、ある程度よりも親しくなると、私の外交担当はリンさんアニキかという選択肢になります。

二人とも、「人に甘える」というタイプではないですよね。

どちらも、ちょっと男前な性格ですし…笑

甘えても大丈夫だと思えて、甘えることを許してくれる先は、たしかに必要です。

「それには、とにかく人をよく見ることですね」

委員長は生真面目な調子で続けました。

人を見る

それはどういうことなのだろうかと、私はさらに考えます。

「あなたの書こうとしている小説に、人を見抜くのが上手い子がいるでしょう」

委員長の言ったことには、もちろん心当たりがありました。

私の脳内に数ある物語ストックの中に、たしかにそういう特徴のあるキャラクターがいます。

見た目や言葉などの上辺じゃなくて、人の本質を見るのに長けた子です。

「●●●のこと?」

私が迷わず名前を口に出すと、委員長は頷きました。

「あんな感じで、外見ではなく本質を見抜く目を養え、ということなのでは?」

な、なるほど…。

たしかにごもっともな話。

信頼して寄りかかることのできる先がなければ、そもそも上手く人に甘えられない性質である私には、「頼りたい・甘えたい」欲求を満たすことは困難でしょう。

自分ももっと愛情深くなって、また、頼るなら愛情深い人物を見つけなくてはならない。

…それが、今の私に課せられた、その地下の子からの重要な課題のような気がしました。

いつかその子に直接会うために、少しずつでもいいから、丁寧に毎日を生きようと。

そう、思いました。

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

→ 次回、住人の生まれてきた理由とは…?

  不思議な地下の男の子。

  彼はなぜ、そこにひとりきりで閉じこもっているのでしょうか。

 

 

▲ hiro / Iincho